相続財産の調査方法(不動産①)
こんにちは。
日々弁護士業務を行う中で知りえたことなどを皆さんと共有できればと思います。
本日は、相続が開始したときの、不動産に関する財産調査の方法についてです。
特に、今回は不動産があるか調べようとして陥りがちな事情についてお知らせしたいと思います。
身近な人が亡くなり、相続が開始し、遺産分割をしようとするとき、どんな財産を所有していたかを調べることになると思います。
もし、財産がなく、借金がたくさんあるという状況であれば、相続放棄を選択することになるでしょう。
そのためにも、相続財産について調べることはとても重要です。
そして、人が持つ財産の中でも不動産は価値が大きいことが多く、調査の優先順位としては高いといえるでしょう。
しかし、何らの知識もなく調べようと思っても難しいと気づくでしょう。
当然ですが、名札がそのままついているわけではありません(家なら表札くらいはあるかもしれませんが)。
そんな中、亡くなった人の持ち物を整理していると、「固定資産税通知書」というものを発見することがあると思います。
固定資産税とは、土地・家屋・償却資産に対して課税される市税のことで、これらを所有する人に毎年課されることになります。
固定資産税通知書とは、その固定資産税を算出するために、その人が有する固定資産と、その価値について通知する書面のことです。
そこで、相続人の中には、亡くなった人が所有する土地、建物といった不動産はこれに書いてあるものだけだと思い、相続手続きを進めてしまいがちです。
しかし、固定資産税通知書の説明でもわかる通り、この通知がされるのは、固定資産税が課されるものですので、評価額が一定額以下(一般に、土地なら30万円以下、建物は20万円以下)
のものは表示されておりません。
また、公共の道路に面しているような場合も固定資産税がかからない場合があります。
つまり、固定資産税通知だけにたよって、不動産の調査をすると、抜けが生じるおそれがあるということです。
固定資産税通知を見つけた場合は、その通知を出した市区町村に被相続人名義の固定資産課税台帳の「名寄帳」(の写し)を取得しましょう。
これには、原則、請求に係る者が所有する不動産が課税にかかわらず一覧となっていますので、固定資産税通知書の抜けをカバーすることができます。
ただし、名寄帳はその市区町村が把握しているものに限られる上、その年の1月1日の時点の記録ですので、その年が始まり被相続人が亡くなるまでの間に手放したり、新しく取得したりしていると、実際の相続財産と齟齬が生じる恐れがあります。
また、市区町村によっては名寄帳の写しの交付・閲覧の手続していない場合があります(名古屋市もその1つです)。
1つの調査で万全なものなどないということですね。
本日はここまでです。
なかなか範囲の広い分野ですので、改めて続きをどこかでお知らせできればと思います。
さようなら